子どもから大人へ③・・・植物編

「生き物が大人になるまで『成長』をめぐる生物学」稲垣栄洋著 大和書房

(「・」は抜き書き、「★」は内容をまとめたもの)

★「踏まれたら立ち上がらない雑草魂」
立ち上がることにエネルギーを使うより花を咲かせて種子を残すことが大事。エネルギーは大切なことのために使うべき。がんばるのは大切なことのため。「大切なことを見失わない」。これこそが本当の雑草魂なのです。(p.168)

★植物は成育に適したときは茎をのばしたり葉を茂らせることに懸命だが、これらができなくなると、植物は下へ下へと根を伸ばす。日照りの時に根をたくさん張った雑草が底力を発揮する。(p.172)

★成長の仕方はさまざま。上に伸びる成長もあれば横に増える成長もある(分げつ:ぶんげつ)。目に見える成長もあれば目に見えない成長もある。昨日の自分と今日の自分で大きく心が変化してもその成長は見えない。自分にさえも見えないのである。(p.172)

★「摘心:てきしん」
葉の先端を摘むことで、脇芽の発生や開花、結実を促す。摘心をしないと花が開き始めるのは早いという利点があるが、ひょろひょろとした姿になってしまう。折れたほうが丈夫に育つ。たくさんの花を咲かせて新しい枝葉を茂らせる。また茎をのばし次の節を作り、そこに葉と脇芽をつくる。そこからまた茎を伸ばし次の節を作る。九鬼の成長が行き詰った時の節が新たな拠点となる。中には子の節から根を出す植物もある。植物の世界では確かな節目を作ることが成長をより確かなものにする。(p.176)

★植物の成長はS字曲線を描く。最初は成長のスピードは緩やかだが、ある時一気に成長する。十分に大きくなると再び成長が緩やかになり、ついには成長にも終わりが来る。(p.180)

★成長とはただ「数字が増える」ということだけではない。質が変化するという成長もある。例えばイネは田に植えられたあと、横に広がる分げつをして、そののち縦に伸びる成長(節間伸長)を遂げ、やがて葉の先端から穂を出し花を咲かせコメを実らせる。(p.186)

★「成長か成熟か」
日商が少なく気温が低い日が続いた年、イネの草丈はぐんぐん伸びた。村人は豊作を期待したが実際は凶作であった。実はいつもより高く伸びるイネはもがき苦しんでいる姿。あるいは肥料を多く与えるとイネの葉や茎は大きく成長するが秋になっても緑のまま。結実せず枯れることもない( ← これが望み?幸せな姿?)(p.191)

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