今ここにある気候危機①
「グリーン・ニューディールを勝ち取れ」ヴァルシニ・プラカシュ/ギド・ジルジェンティ編著 訳;朴勝俊ほか 那須里山舎
結構分厚い本で、大事なことがたくさん書いてありました。抜き書きではなく、要点をメモしました。
★産業革命以来、地球の気温は約1.1℃上昇。これは人類史において記録されてきた気温の範囲から外れている。我々はすでに前例のない時代に生きている。人類が獲得してきた知識はすべて、過去の気候条件に基づくものだ。我々はまるで別の惑星に降り立ったようなものだ。
★1970年代以降
*アメリカ西部で焼かれた(森林火災)土地面積は2倍、大規模火災は5倍
*地球上の動物の個体数の60%、昆虫の70%、が生態系の破壊、汚染で消失
*南半球の国々では、毎年900万人以上(ホロコーストに相当)が大気汚染により死亡
*グリーンランドの氷床は(20~30年前と比べて)7倍の速さで溶け出している
*ヨーロッパでは、ひと夏の間に3回もの記録的な高温
*ヒューストンでは、この5年間に5回も「500年に一度の暴風雨」
*気候変動は急速なだけでなく、今後何世紀にもわたって影響し続ける。今後10年間の人類の行為は地球上の成型環境を決定づける
★2018年IPCC(Intergovernmental Panel on Climate Change 気候変動における政府間パネル)
2030年までに+1.5℃以内(産業革命以前に比べて)。
そのために世界の炭素排出量を2030年までに約半分に減らし、その後2050年までには排出量を0にしなくてはならない。
減少作戦に失敗すれば2040~2050年に気温は+2℃となる。
★+2℃になると
*+1.5℃に比べて大気汚染で亡くなる人が1億5300万人も多くなる
*(現在100年に一度とされる)洪水は毎年のように起きる
*南アジアや中東の大都市では夏の間は人が住めなくなる
*世界で2億人以上の(気候変動による)難民が発生する
*海面上昇のため2億8000万人の人がいじゅうを強いられる
*アメリカ西部の山火事は今よりもさらに4倍もの面積を焼失させる
※+2℃を少し超えると地球上のすべての氷床が永久的に失われ、地球全体の海面が約200フィート(61m)上昇し主要都市の2/3が浸水する
※ちなみに積極的な措置を講じなければ、今世紀末までに+3℃となることはほぼ確実で現在の傾向のまま行けば+4℃と予想されている
※もし明日にでも世界中の炭素の排出を止めたとしても、すでに大気中に放たれた炭素だけで+0.5℃の寄与がある
★+4℃になると
*世界のGDPは(気候変動がなかった時と比べて)30%減少する(世界大恐慌の2倍の深刻さに相当)
*気候変動による被害は600兆ドル(6京6000兆円;現在の世界中の富、全てより数百兆ドルも多い)
*大規模な干ばつにより複数の穀倉地帯の同時不作
*戦争増加の危険性
*アフリカやオーストラリア、アメリカのほぼ全域、パタゴニア以北の南アメリカ、シベリア以南のアジア地域で気温上昇や砂漠化・洪水のため人が住めなくなる(あるいは住みにくくなる)
・・・「今ここにある気候危機②」に続く