子どもから大人へ①

「生き物が大人になるまで『成長』をめぐる生物学」稲垣栄洋著 大和書房

 私は活字中毒で、そのうえ「( ゚д゚)ハッ!」と心が揺さぶられる言葉、文章に出会うと、それを書き留めておきたいという衝動にかられます。よって次から次へと本を手にとっては、次から次へと書き留めたい言葉に出会ってしまうので、読む本を常に数冊抱えているという脳内積読同時進行という事態に陥ります💦 我ながらめんどくさいですね。
 その時の気力体力によって、書き留めた文章が少ない本もあれば、やたらと多い時も今回の本のような場合もあります。以下は、ノートに書き留めた文章ですが、今読み返しても新鮮です。(「・」は抜き書き、「★」は内容をまとめたもの)

・餌をたくさん食べた幼虫が、大きく成長し大きなカブトムシになります。しっかりした幼虫時代を過ごしたものだけが、しっかりとした成虫になることができるのです。幼虫は成虫になるための存在です。立派な成虫になるには立派な幼虫時代が必要なのです。(p.18)

・どうして哺乳動物の赤ちゃんはかわいいのでしょうか。それは哺乳動物の赤ちゃんが「大人に守られるべき存在」だからです。哺乳動物は子育てをする動物です。そして哺乳動物の子どもは「子育てされる存在」です。そのため大人たちから守られるようにかわいい姿をしているのです。(・・・略) 哺乳動物の赤ちゃんは「かわいらしさ」で身を守るようになっているのです。(p.25)

・赤信号が「止まれ」の合図であるように、おでこが広いということは「襲ってはいけない」「守らなければならない」という合図なのです。哺乳動物にとっては大人は子どもを守る存在であり、子どもは大人に守られる存在です。よく似た姿をしていても大人と子どもの姿が異なるということは大人と子供の役割が違うということです。
 それでは子どもの役割とは何なのでしょうか。(・・・略) それは「大人になる」ことです。しっかりとした大人になるために、しっかりとした子ども時代を過ごすことがです。それが子どもの役割なのです。(p.27)

・昆虫の多くは卵を産みっぱなしにして子育てをしないのには理由があります。昆虫が多くの生物が餌にする弱い存在です。どんなに卵や子度をも守ろうとしても、親もろともに食べられてしまったのでは子どもを守ることができません。(・・・略) 「子どもを守り育てる」ということは強い生物だけに与えられた特権です。子供を守る力を持つ親だけが子育てをすることを許されているのです。(p.30)

★昆虫は本能を高度に発達させた・・・予想範囲内の環境なら正しく行動できるが、プログラムの想定外の事態に対応できない
★哺乳類は知能を高度に発達させた・・・情報を処理して状況を分析できるため、臨機応変に行動することができる
   ↓
 哺乳類は、最適な答えを導くため膨大な情報を必要とし、更には、その情報を頼りに自分自身で繰り返し情報の確かさを確認する。
 これが「経験」。経験とは成功と失敗を繰り返すこと(安全が保障された環境で行われる必要がある)。
 哺乳動物の子供たちは親に守られて経験を積み重ねることができるが、親の保護のない昆虫は経験を積むことができない。(p.30~59)

・哺乳動物の親の役割は子どもを守ることだけではありません。安全な環境で経験を積ませることも、また哺乳動物の親の大事な役割なのです。(p.60)

★哺乳類がとった「知能」という戦略では、生きるために必要な「最低限の技術」でさえも親から教わる必要がある。限られた環境下で効果的に体験を積み重ねるツールが「遊び」。子どもへの「教え方」も学んで身につける。親もまた、自分が子どもの頃に教わったやり方で自分の子どもに教えている。(p.63~66)

・私たち哺乳動物は、親もまた、親となるための練習が必要なのです。(p.67)

・・・「子どもから大人へ②」に続く

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