「拠点・沿道ネットワーク型」都市構造とは 5つの課題と基本方針
少子高齢・人口減少社会の進展を背景に、平成 26 年(2014 年)8 月に都市再生特別措置法改正された。これを受け、八王子市は長期的な都市計画として「拠点・沿道ネットワーク型」都市構造を志向している。(第 2 次八王子市都市計画マスタープランより)
八王子市における長期的人口動態を、
①人口増加期(1995 年以前)、②人口構成変化(人口ピーク)期(1995 年~2050 年)、③人口減少期(2050 年以降)
と捉え、超高齢社会に直面する都市課題の解決を図りつつ、2050 年以降の本格的な人口減少に備える取組を進めている。
※八王子市は1970 年(S45 年)、人口 50 万人規模の都市を目指して市街化区域を設定。2010 年(H22 年、 58.0 万人)にピークを迎え、2015 年(H 27 年)には減少に転じ、2050 年(R 32 年)の人口は 48.7 万人と予測されてる。
本格的に始まる人口減少期に向け、八王子市では課題を5つ挙げている。
5つの課題の要約
1.都市機能や行政サービスの密度の維持
2.持続可能な地域公共交通の実現
3.行政サービスや都市基盤維持管理の効率化
4.農とみどり豊かな居住・コミュニティの創出
5.災害リスクへのしなやかな対応と居住の誘導
以上5つの課題に対する基本方針はこれ!
1.利便性の高い公共交通を維持できる人口分布
□日常生活を支える都市機能や行政サービスの密度を維持 □“生活のしやすさ”+“移動のしやすさ”を長期的に維持
2.中心拠点と地域拠点・生活拠点のネットワーク
□賑わいと都市の魅力の核となる中心拠点 □“身近な生活圏”を支える地域拠点・生活拠点
3.歩いて健康に暮らせる“身近な生活圏”
□市民のウェルビーイングを維持する公共交通のサービス水準と都市機能の立地 □持続可能な都市経営を実現する都市のボリューム
4.八王子らしいみどり豊かな住環境
□低密度で農とみどり豊かな安全でゆとりあるライフスタイル □ライフスタイルの変化に対応した新たな価値の創造
5.社会としての持続可能性
◎八王子市は「拠点・沿道ネットワーク型」都市構造に基づき、八王子市内の駅周辺を”都市活動や日常生活の中心として機能集積を図る拠点”として「中心拠点」、「地域拠点」、「生活拠点」、「産業拠点」という4種類に分けている。
◎並行して「拠点・沿道ネットワーク型」都市構造に基づき、路線バスのサービス水準の違う2つの圏域を設定し、居住を誘導する方針。
【身近な生活圏】鉄道駅 700m 徒歩圏や日中片道15 分間隔以内の高頻度運航路線のバス停 300m 徒歩圏。
【ゆとり生活圏】日中片道 15 分間隔を超える(1時間に1~4本)中・低頻度運航路線のバス停 300m 徒歩圏。
※ 居住を誘導:日常生活サービス(医療、商業など)が継続して提供されうる人口密度水準を確保するため、個人の権利行使や選択の自由を認めつつ、正しい情報を提供して社会的利益にとって望ましい選択肢(行動)を選択するよう促すこと。
◎ それぞれの地域を、”路線バスとの交通結節点である鉄道駅”から700m以内は「交通結節点型」、”鉄道駅あるいは幹線道路沿道”から700m以内であれば「一般型」として、①中心拠点・交通結節点型 ②地域拠点・交通結節点 ③地域拠点・一般型 ④生活拠点・一般型 のどこかに分類します。
①中心拠点・交通結節点型 → 八王子・京王八王子駅周辺、西八王子駅周辺
②地域拠点・交通結節点型 → 南大沢駅周辺、八王子みなみ野駅周辺、高尾駅周辺、北野駅周辺
③地域拠点・一般型 → 四谷周辺、中央道八王子 IC 周辺
③生活拠点・一般型 → 京王堀之内駅周辺、めじろ台・狭間駅周辺楢原周辺、小田野周辺、多摩 NT 鑓水周辺
〈八王子市内の都市機能誘導区域図〉
※参考資料「八王子市立地適正化計画(2020年3月)」より